転写因子Bach2の発現の低下はメモリーB細胞の抗体産生細胞への迅速な分化をひき起こす
米谷耕平・黒崎知博
(理化学研究所統合生命医科学研究センター 分化制御研究グループ)
email:米谷耕平,黒崎知博
DOI: 10.7875/first.author.2013.097
Repression of the transcription factor Bach2 contributes to predisposition of IgG1 memory B cells toward plasma cell differentiation.
Kohei Kometani, Rinako Nakagawa, Ryo Shinnakasu, Tomohiro Kaji, Andrei Rybouchkin, Saya Moriyama, Koji Furukawa, Haruhiko Koseki, Toshitada Takemori, Tomohiro Kurosaki
Immunity, 39, 136-147 (2013)
メモリーB細胞は抗体を迅速かつ強力に産生する細胞であるが,なぜ迅速な抗体産生反応をひき起こせるのかは不明であった.仮説のひとつとして,メモリーB細胞の発現するB細胞受容体は強力なシグナルを伝達することのできる免疫グロブリンG型であるためという可能性が考えられていた.筆者らは,この仮説を検証するため,免疫グロブリンG1型のB細胞受容体をもつが抗原には感作されていないB細胞を作出し,その抗体産生細胞への分化能を解析した.その結果,抗原に感作された免疫グロブリンG1型B細胞受容体をもつメモリーB細胞は抗体産生細胞へと迅速に分化するのに対し,抗原に未感作の免疫グロブリンG1型B細胞受容体をもつB細胞はそのような分化能を示さなかった.このことは,抗体産生細胞への迅速な分化をひき起こすためにはB細胞受容体の違いだけでは不十分であり,細胞内におけるなんらかの変化が重要であることを示していた.筆者らは,その変化は転写因子Bach2の発現の低下であり,この変化が免疫グロブリンG1型B細胞受容体をもつメモリーB細胞の抗体産生細胞への迅速な分化をひき起こすことを明らかにした.
免疫系は,いちど出会った抗原にふたたび遭遇した際,1回目よりもより強力で迅速な反応をひき起こすことができる.この現象をささえる機構を免疫記憶とよぶ.免疫系にはさまざまな細胞がかかわっているが,そのなかで,抗体を産生することにより細菌やウイルスなどの外敵から生体を防御する役割をはたすのがB細胞である.造血幹細胞から分化したばかりのB細胞は抗原に出会ったことがなく,ナイーブB細胞とよばれる.一方,いちど抗原に感作されたのちも生存し再感染に備えているB細胞はメモリーB細胞とよばれる1).古くから,メモリーB細胞は抗体を迅速かつ強力に産生することが知られていたが,その分子機構は不明であった.近年,ナイーブB細胞は免疫グロブリンM型のB細胞受容体を細胞の表面にもつのに対し,メモリーB細胞のもつ免疫グロブリンG型のB細胞受容体は,免疫グロブリンM型B細胞受容体にはない独特のドメインを細胞内にもつことで,より強力にシグナルを伝達することのできることから,このことがメモリーB細胞において抗体の迅速な産生をひき起こしているという仮説が考えられた.その一方で,ナイーブB細胞とメモリーB細胞では細胞内のシグナル伝達タンパク質の状態や転写因子などの発現について差があり,メモリーB細胞における抗体の迅速な産生能はこのことに起因しているという仮説もあり,その結論はでていなかった.
免疫グロブリンM型B細胞受容体は細胞内には3アミノ残基しかないのに対し,免疫グロブリンG型B細胞受容体は細胞内に28アミノ残基あり,強力にシグナルを伝達することができる2-4).そのため,メモリーB細胞における抗体の迅速な産生能は免疫グロブリンG型B細胞受容体によりひき起こされているという仮説が考えられていた.この仮説を検証するためには,免疫グロブリンG型B細胞受容体をもつナイーブB細胞を用いて免疫グロブリンG型B細胞受容体の機能を直接に評価することが最適であるが,このようなB細胞は通常の生体には存在しない.そこで,免疫グロブリンG1型B細胞受容体をもつメモリーB細胞から核移植マウスを作製した.通常のマウスとは異なり,この核移植マウスは最初から抗原に特異的な免疫グロブリンG1型B細胞受容体をコードする遺伝子をもつため,分化したB細胞はすべて抗原に特異的な免疫グロブリンG1型B細胞受容体を発現するナイーブB細胞となる.このナイーブB細胞を用いて免疫グロブリンG1型B細胞受容体による抗体産生細胞への分化能について検証した.
免疫グロブリンM型B細胞受容体をもつナイーブB細胞,もしくは,免疫グロブリンG1型B細胞受容体をもつナイーブB細胞をマウスに養子移植し抗原を投与した.免疫グロブリンM型B細胞受容体をもつナイーブB細胞は免疫グロブリンG1型B細胞受容体をもつメモリーB細胞とは異なり抗体産生細胞への分化能は低かったが,免疫グロブリンG1型B細胞受容体をもつナイーブB細胞も同じ程度に低い分化能しか示さなかった.このことは,免疫グロブリンG型B細胞受容体をもつだけでは迅速な抗体の産生能を発揮することはできないことを示していた.
抗原の感作が必要であるかどうかを検証するため,免疫グロブリンG1型B細胞受容体をもつナイーブB細胞をマウスに養子移植し,抗原を投与したのち1カ月のあいだメモリーB細胞の分化を待った.この免疫グロブリンG1型B細胞受容体をもつナイーブB細胞に由来する,免疫グロブリンG1型B細胞受容体をもつメモリーB細胞を用い,抗体産生細胞への分化能を解析したところ,通常のマウスから得られる免疫グロブリンG1型B細胞受容体をもつメモリーB細胞と同様に,抗体産生細胞への高い分化能を示した.これらの結果は,抗原にいちど感作されることにより起こる細胞内におけるなんらかの変化により,抗体産生細胞への高い分化能が獲得されることを意味した.
メモリーB細胞は抗体産生細胞への高い分化能をもつことから,抗体産生細胞への分化に必須の遺伝子であるBlimp1遺伝子,Irf4遺伝子,Xbp1遺伝子の発現をナイーブB細胞と比較した.しかしながら,メモリーB細胞におけるこれらの遺伝子の発現は,ナイーブB細胞と比べ有意に高いものではなかった.そこで,B細胞においては発現が高いものの抗体産生細胞へと分化する際にその発現を停止するPax5遺伝子,Bach2遺伝子,Bcl6遺伝子の発現について検討した.その結果,メモリーB細胞ではこれらの遺伝子の発現がナイーブB細胞と比べ低下していた.これらの遺伝子の発現の低下が抗体の迅速な産生をひき起こすのかどうか,遺伝子ノックダウン法を用いて検証した.その結果,Pax5をノックダウンしたB細胞の抗体産生細胞への分化には対象と比較して有意な差は認められなかったが,Bach2をノックダウンしたB細胞では抗体産生細胞の顕著な増加が認められた.これらの結果から,免疫グロブリンG1型B細胞受容体をもつメモリーB細胞において,抗原の感作により起こる転写因子Bach2の発現の低下が抗体の迅速な産生をひき起こす要因であることが明らかになった.
Bach2の発現の低下をひき起こす機構について検討した.マウスから精製したB細胞を試験管内において抗免疫グロブリンM抗体+抗CD40抗体+インターロイキン4により刺激すると,生体内における免疫応答と同様にBach2の発現低下がひき起こされる.このとき,さまざまなシグナル伝達タンパク質の阻害剤を添加してBach2の発現低下による影響について検討した.その結果,mTORの阻害剤であるラパマイシンおよびAKTの阻害剤によりBach2の発現低下の阻害が認められた.さらに,転写因子FoxO1の阻害剤によりBach2の発現はさらに低下した.逆に,FoxO1の恒常的な活性化変異体をレトロウイルスを用い導入したB細胞ではBach2の発現が上昇した.これらの結果から,抗原の感作によるPI3K-AKT-mTORシグナル伝達経路の活性化,および,FoxO1の活性の低下がBach2の発現低下をひき起こしていることが示唆された.
今回の研究により,メモリーB細胞のもつ抗体の迅速な産生能は,B細胞受容体の違いだけによりひき起こされるのではなく,抗原の感作によりひき起こされる転写因子Bach2の発現の低下が要因であることが明らかになった(図1).Bach2には抗体産生細胞への分化において必須であるBlimp1に対し,その遺伝子の転写を抑制するはたらきがあり,Bach2の発現を低下させるとBlimp1の発現は上昇することが報告されている5,6).メモリーB細胞におけるBach2の発現低下も同様に,抗原の感作ののちのBlimp1の発現を亢進していると考えられた.このように,メモリーB細胞はふたたび抗原に遭遇した際に抗体産生細胞へと分化しやすい状態のまま待機しており,抗体産生細胞への分化に特化した細胞といえる.
Bach2はB細胞において高く発現しており,これまで,B細胞における機能が多く報告されてきたが7),近年では,T細胞における機能も報告されている8,9).また,Bach2の発現は細胞の種類や状態により大きく変化することもわかっている.今後も,Bach2の発現の変化による免疫機能への影響が明らかになっていくものと期待される.
略歴:2006年 京都大学大学院生命科学研究科 修了,2007年より理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センター(現 統合生命医科学研究センター)研究員.
研究テーマ:B細胞による抗体産生機構.
黒崎 知博(Tomohiro Kurosaki)
理化学研究所統合生命医科学研究センター グループディレクター.大阪大学免疫学フロンティア研究センター 特任教授 兼任.
研究室URL:http://web.rcai.riken.jp/en/labo/lympho/index.html,http://lymph.ifrec.osaka-u.ac.jp/index_j.html
© 2013 米谷耕平・黒崎知博 Licensed under CC 表示 2.1 日本
(理化学研究所統合生命医科学研究センター 分化制御研究グループ)
email:米谷耕平,黒崎知博
DOI: 10.7875/first.author.2013.097
Repression of the transcription factor Bach2 contributes to predisposition of IgG1 memory B cells toward plasma cell differentiation.
Kohei Kometani, Rinako Nakagawa, Ryo Shinnakasu, Tomohiro Kaji, Andrei Rybouchkin, Saya Moriyama, Koji Furukawa, Haruhiko Koseki, Toshitada Takemori, Tomohiro Kurosaki
Immunity, 39, 136-147 (2013)
要 約
メモリーB細胞は抗体を迅速かつ強力に産生する細胞であるが,なぜ迅速な抗体産生反応をひき起こせるのかは不明であった.仮説のひとつとして,メモリーB細胞の発現するB細胞受容体は強力なシグナルを伝達することのできる免疫グロブリンG型であるためという可能性が考えられていた.筆者らは,この仮説を検証するため,免疫グロブリンG1型のB細胞受容体をもつが抗原には感作されていないB細胞を作出し,その抗体産生細胞への分化能を解析した.その結果,抗原に感作された免疫グロブリンG1型B細胞受容体をもつメモリーB細胞は抗体産生細胞へと迅速に分化するのに対し,抗原に未感作の免疫グロブリンG1型B細胞受容体をもつB細胞はそのような分化能を示さなかった.このことは,抗体産生細胞への迅速な分化をひき起こすためにはB細胞受容体の違いだけでは不十分であり,細胞内におけるなんらかの変化が重要であることを示していた.筆者らは,その変化は転写因子Bach2の発現の低下であり,この変化が免疫グロブリンG1型B細胞受容体をもつメモリーB細胞の抗体産生細胞への迅速な分化をひき起こすことを明らかにした.
はじめに
免疫系は,いちど出会った抗原にふたたび遭遇した際,1回目よりもより強力で迅速な反応をひき起こすことができる.この現象をささえる機構を免疫記憶とよぶ.免疫系にはさまざまな細胞がかかわっているが,そのなかで,抗体を産生することにより細菌やウイルスなどの外敵から生体を防御する役割をはたすのがB細胞である.造血幹細胞から分化したばかりのB細胞は抗原に出会ったことがなく,ナイーブB細胞とよばれる.一方,いちど抗原に感作されたのちも生存し再感染に備えているB細胞はメモリーB細胞とよばれる1).古くから,メモリーB細胞は抗体を迅速かつ強力に産生することが知られていたが,その分子機構は不明であった.近年,ナイーブB細胞は免疫グロブリンM型のB細胞受容体を細胞の表面にもつのに対し,メモリーB細胞のもつ免疫グロブリンG型のB細胞受容体は,免疫グロブリンM型B細胞受容体にはない独特のドメインを細胞内にもつことで,より強力にシグナルを伝達することのできることから,このことがメモリーB細胞において抗体の迅速な産生をひき起こしているという仮説が考えられた.その一方で,ナイーブB細胞とメモリーB細胞では細胞内のシグナル伝達タンパク質の状態や転写因子などの発現について差があり,メモリーB細胞における抗体の迅速な産生能はこのことに起因しているという仮説もあり,その結論はでていなかった.
1.免疫グロブリンG型B細胞受容体は単独では抗体の迅速な産生をひき起こすことはできない
免疫グロブリンM型B細胞受容体は細胞内には3アミノ残基しかないのに対し,免疫グロブリンG型B細胞受容体は細胞内に28アミノ残基あり,強力にシグナルを伝達することができる2-4).そのため,メモリーB細胞における抗体の迅速な産生能は免疫グロブリンG型B細胞受容体によりひき起こされているという仮説が考えられていた.この仮説を検証するためには,免疫グロブリンG型B細胞受容体をもつナイーブB細胞を用いて免疫グロブリンG型B細胞受容体の機能を直接に評価することが最適であるが,このようなB細胞は通常の生体には存在しない.そこで,免疫グロブリンG1型B細胞受容体をもつメモリーB細胞から核移植マウスを作製した.通常のマウスとは異なり,この核移植マウスは最初から抗原に特異的な免疫グロブリンG1型B細胞受容体をコードする遺伝子をもつため,分化したB細胞はすべて抗原に特異的な免疫グロブリンG1型B細胞受容体を発現するナイーブB細胞となる.このナイーブB細胞を用いて免疫グロブリンG1型B細胞受容体による抗体産生細胞への分化能について検証した.
免疫グロブリンM型B細胞受容体をもつナイーブB細胞,もしくは,免疫グロブリンG1型B細胞受容体をもつナイーブB細胞をマウスに養子移植し抗原を投与した.免疫グロブリンM型B細胞受容体をもつナイーブB細胞は免疫グロブリンG1型B細胞受容体をもつメモリーB細胞とは異なり抗体産生細胞への分化能は低かったが,免疫グロブリンG1型B細胞受容体をもつナイーブB細胞も同じ程度に低い分化能しか示さなかった.このことは,免疫グロブリンG型B細胞受容体をもつだけでは迅速な抗体の産生能を発揮することはできないことを示していた.
抗原の感作が必要であるかどうかを検証するため,免疫グロブリンG1型B細胞受容体をもつナイーブB細胞をマウスに養子移植し,抗原を投与したのち1カ月のあいだメモリーB細胞の分化を待った.この免疫グロブリンG1型B細胞受容体をもつナイーブB細胞に由来する,免疫グロブリンG1型B細胞受容体をもつメモリーB細胞を用い,抗体産生細胞への分化能を解析したところ,通常のマウスから得られる免疫グロブリンG1型B細胞受容体をもつメモリーB細胞と同様に,抗体産生細胞への高い分化能を示した.これらの結果は,抗原にいちど感作されることにより起こる細胞内におけるなんらかの変化により,抗体産生細胞への高い分化能が獲得されることを意味した.
2.転写因子Bach2の発現の低下が抗体の迅速な産生をひき起こす
メモリーB細胞は抗体産生細胞への高い分化能をもつことから,抗体産生細胞への分化に必須の遺伝子であるBlimp1遺伝子,Irf4遺伝子,Xbp1遺伝子の発現をナイーブB細胞と比較した.しかしながら,メモリーB細胞におけるこれらの遺伝子の発現は,ナイーブB細胞と比べ有意に高いものではなかった.そこで,B細胞においては発現が高いものの抗体産生細胞へと分化する際にその発現を停止するPax5遺伝子,Bach2遺伝子,Bcl6遺伝子の発現について検討した.その結果,メモリーB細胞ではこれらの遺伝子の発現がナイーブB細胞と比べ低下していた.これらの遺伝子の発現の低下が抗体の迅速な産生をひき起こすのかどうか,遺伝子ノックダウン法を用いて検証した.その結果,Pax5をノックダウンしたB細胞の抗体産生細胞への分化には対象と比較して有意な差は認められなかったが,Bach2をノックダウンしたB細胞では抗体産生細胞の顕著な増加が認められた.これらの結果から,免疫グロブリンG1型B細胞受容体をもつメモリーB細胞において,抗原の感作により起こる転写因子Bach2の発現の低下が抗体の迅速な産生をひき起こす要因であることが明らかになった.
3.Bach2の発現の低下はmTORによりひき起こされる
Bach2の発現の低下をひき起こす機構について検討した.マウスから精製したB細胞を試験管内において抗免疫グロブリンM抗体+抗CD40抗体+インターロイキン4により刺激すると,生体内における免疫応答と同様にBach2の発現低下がひき起こされる.このとき,さまざまなシグナル伝達タンパク質の阻害剤を添加してBach2の発現低下による影響について検討した.その結果,mTORの阻害剤であるラパマイシンおよびAKTの阻害剤によりBach2の発現低下の阻害が認められた.さらに,転写因子FoxO1の阻害剤によりBach2の発現はさらに低下した.逆に,FoxO1の恒常的な活性化変異体をレトロウイルスを用い導入したB細胞ではBach2の発現が上昇した.これらの結果から,抗原の感作によるPI3K-AKT-mTORシグナル伝達経路の活性化,および,FoxO1の活性の低下がBach2の発現低下をひき起こしていることが示唆された.
おわりに
今回の研究により,メモリーB細胞のもつ抗体の迅速な産生能は,B細胞受容体の違いだけによりひき起こされるのではなく,抗原の感作によりひき起こされる転写因子Bach2の発現の低下が要因であることが明らかになった(図1).Bach2には抗体産生細胞への分化において必須であるBlimp1に対し,その遺伝子の転写を抑制するはたらきがあり,Bach2の発現を低下させるとBlimp1の発現は上昇することが報告されている5,6).メモリーB細胞におけるBach2の発現低下も同様に,抗原の感作ののちのBlimp1の発現を亢進していると考えられた.このように,メモリーB細胞はふたたび抗原に遭遇した際に抗体産生細胞へと分化しやすい状態のまま待機しており,抗体産生細胞への分化に特化した細胞といえる.
Bach2はB細胞において高く発現しており,これまで,B細胞における機能が多く報告されてきたが7),近年では,T細胞における機能も報告されている8,9).また,Bach2の発現は細胞の種類や状態により大きく変化することもわかっている.今後も,Bach2の発現の変化による免疫機能への影響が明らかになっていくものと期待される.
文 献
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著者プロフィール
略歴:2006年 京都大学大学院生命科学研究科 修了,2007年より理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センター(現 統合生命医科学研究センター)研究員.
研究テーマ:B細胞による抗体産生機構.
黒崎 知博(Tomohiro Kurosaki)
理化学研究所統合生命医科学研究センター グループディレクター.大阪大学免疫学フロンティア研究センター 特任教授 兼任.
研究室URL:http://web.rcai.riken.jp/en/labo/lympho/index.html,http://lymph.ifrec.osaka-u.ac.jp/index_j.html
© 2013 米谷耕平・黒崎知博 Licensed under CC 表示 2.1 日本