成人T細胞白血病から明らかになった新たなクロストーク経路の異常とがん
山岸 誠・渡邉俊樹
(東京大学大学院新領域創成科学研究科 メディカルゲノム専攻病態医療科学分野)
email:山岸 誠,渡邉俊樹
DOI: 10.7875/first.author.2012.023
Polycomb-mediated loss of miR-31 activates NIK-dependent NF-κB pathway in adult T cell leukemia and other cancers.
Makoto Yamagishi, Kazumi Nakano, Ariko Miyake, Tadanori Yamochi, Yayoi Kagami, Akihisa Tsutsumi, Yuka Matsuda, Aiko Sato-Otsubo, Satsuki Muto, Atae Utsunomiya, Kazunari Yamaguchi, Kaoru Uchimaru, Seishi Ogawa, Toshiki Watanabe
Cancer Cell, 21, 121-135 (2012)
成人T細胞白血病は日本人に100万人以上,世界では推定2000万人の感染者がいるHTLV-1によりひき起こされる重篤な白血病で,有効な治療法は確立していない.筆者らは,HTLV-1感染者コホート共同研究班の全面的な協力を得て,世界ではじめて成人T細胞白血病患者の細胞のゲノム,mRNA,マイクロRNAの大規模な統合解析を完了した.その結果,成人T細胞白血病の悪性化をひき起こす原因として,マイクロRNAのひとつmiR-31がすべての成人T細胞白血病患者において著しく減少していることを明らかにした.miR-31の減少はその標的遺伝子の産物であるNIKの過剰な発現とそれにともなうNF-κBシグナルの恒常的な活性化を誘発すること,miR-31を再導入すると細胞死が誘導されることが示された.ゲノムの欠損およびPolycombファミリーに依存的なエピジェネティックな異常がmiR-31の発現低下の原因であり,また,成人T細胞白血病だけでなく乳がん細胞やB細胞における免疫応答反応でも同じ機構が保存されていることがわかった.したがって,Polycombファミリー,miR-31,NIKのバランスが細胞の運命に重要であることが示された.Polycombファミリーは細胞の恒常性や分化などの多彩な機能に必須であると同時に,その異常は多くのがん細胞における重要な分子標的となっている.マイクロRNAを介したPolycombファミリーとNF-κBとのクロストークは新たな概念であり,この研究の成果より,エピジェネティックな異常がNF-κBシグナルの恒常的な活性化を介しアポトーシスに対する抵抗性の獲得に寄与することが明らかになった.
成人T細胞白血病(adult T cell leukemia/lymphoma:ATL)はHTLV-1(human T cell leukemia virus type 1,ヒトT細胞白血病ウイルスⅠ型)の感染によりひき起こされる重篤なT細胞性の白血病である.50~60年という長い潜伏期間のあいだHTLV-1に感染した末梢血のT細胞には複数の遺伝子異常が蓄積しがん化がひき起こされる(図1).現在,世界には2000万人以上の感染者がいるとされるが,わが国ではとくに多く,約120万人の感染者が存在し毎年1000人をこえる感染者がきわめて予後の不良な成人T細胞白血病を発症する.白血病やウイルスが発見された当時からこの分野における日本人研究者の貢献度は多大であるが,ウイルスによる細胞の不死化や腫瘍化,治療への抵抗性などの分子機構にはいまだに不明な点が多く残されており有効な治療法は存在しない.ウイルスの根絶と白血病の予防,新規の治療法の開発をめざした分子レベルでの病態の解明が必須である1).
成人T細胞白血病細胞およびHTLV-1感染細胞の生物学的な特徴として恒常的なNF-κBシグナルの活性化があり,これにより細胞の異常な増殖および生存が確保されている2).HTLV-1感染細胞ではウイルスの遺伝子産物であるTaxがNF-κBの定型的(canonical)経路および非定型的(noncanonical)経路を劇的に活性化するが,通常はTaxの発現が認められない成人T細胞白血病細胞におけるNF-κBシグナルの活性化の機構には不明な点が多かった.そののち,遺伝子発現の解析によりNIK(NF-κB-inducing kinase)をコードするmRNAの過剰な発現が恒常的なNF-κBシグナルの活性化に寄与していることが明らかになっているが3),NIKの異常発現の機構は明らかになっていなかった.NF-κBシグナルの異常な活性化とそれにともなう腫瘍細胞の生存能の獲得および悪性化は,成人T細胞白血病だけでなく多くの固形がんや悪性リンパ腫,白血病において共通してみられるがん細胞の特徴のひとつである.そのなかでも,NIKの高発現による異常な活性化は重要な位置をしめているが,正常を逸脱するその機構は不明でありがん研究の全体における課題であった.
筆者らは,成人T細胞白血病患者のマイクロRNAの解析,mRNAの発現解析,および,ゲノム異常の解析を統合してその分子病態の全貌にアプローチした.その結果として明らかになった成人T細胞白血病における分子異常はその臨床的な特徴をよく反映しており,分子マーカーや治療標的としてさまざまな情報を提示した.さらに,明らかにされた新たな分子機構はがん研究の全体に新たな概念を提唱した.
これまでの成人T細胞白血病の研究の多くは細胞株か少数の患者に由来する細胞から得られた情報を基盤としたものであり,実際の成人T細胞白血病細胞を分子レベルで正確に理解することが成人T細胞白血病の研究において重要な課題であった.いまだ有効な治療法のない成人T細胞白血病に対し根本的な情報を得るため,筆者らはまず,全国的なHTLV-1疫学調査および検体バンク組織であるHTLV-1感染者コホート共同研究班(JSPFAD,URL:http://htlv1.org/)の全面的な協力を得て,成人T細胞白血病の臨床検体を用いたマイクロRNAおよびmRNAの大規模な解析に着手した.米国Agilent Technologies社のマイクロRNAマイクロアレイを用い,成人T細胞白血病細胞40例,正常なCD4陽性T細胞22例について解析を行った結果,非常に厳しい検定をクリアした61個のマイクロRNAにおける発現異常を同定した.ほかのがん細胞における報告と同様に,成人T細胞白血病細胞では発現の異常を示すマイクロRNAのほとんどは発現の低下を示した.成人T細胞白血病細胞におけるマイクロRNAの発現パターンはユニークで,マイクロRNAの発現をもって正常なT細胞と区別できることもわかった.この61個のマイクロRNAのなかでもっとも差の大きかったmiR-31は,正常なT細胞では比較的発現量が高く,一方で,成人T細胞白血病細胞では非常に発現が低いもしくは検出限界以下にまで発現が低下していた.miR-31は乳がん細胞の転移能をはじめさまざまな細胞機能にかかわる重要なマイクロRNAで4),その発現の低下が細胞の運命に重要な意味を包含するものと考えられた.
マイクロRNAのおもな生物学的な機能は標的遺伝子の3’側非翻訳領域に結合することによりその発現を負に制御することである.外来の合成siRNAとは異なり,マイクロRNAによる配列の認識はゆらぎが特徴的であり,ひとつのマイクロRNAが複数個の遺伝子を制御することができる.細胞の運命に重大な影響をあたえるような標的遺伝子の探索には,物理的な抑制効果と同時に標的遺伝子の側の機能や挙動も重要な指標となり,したがって,多角的な実験的検証が必須になる.筆者らは,成人T細胞白血病の全例で発現が低下していたmiR-31のT細胞における生物学的な意義を明らかにするため,以下の検討を行った.1)miR-31の標的遺伝子を4つのアルゴリズムにより予測,2)成人T細胞白血病細胞のmRNAの大規模な解析データとのすりあわせによる検証,3)変異を導入したレポーターアッセイ,4)miR-31の増減に対する候補となる標的遺伝子の定量,5)miR-31と標的遺伝子との関係の保存性の確認.以上により,NIKをコードする遺伝子がmiR-31の新規の標的遺伝子であることが明らかになった.NIKはNF-κBの非定型的経路の活性化に必須のリン酸化酵素であり,その発現量がNF-κBシグナルの恒常的な活性化に直接的に寄与することが複数のがんにおいて報告されている.成人T細胞白血病ではNIKをコードするmRNAの量が増加していることがわかっていたが3),過剰な発現の原因は明らかにされていなかった.成人T細胞白血病患者に由来する細胞から樹立された細胞株にmiR-31を過剰に発現させるとNIKのmRNA量およびタンパク質量が低下し,NF-κBシグナルが低下することがわかった.これらの細胞では増殖能の低下,抗アポトーシス遺伝子の発現の低下,アポトーシス感受性の向上がみられた.さらに,miR-31を発現誘導するレンチウイルスベクターは成人T細胞白血病患者から直接取り出した腫瘍細胞のアポトーシスを誘導することがわかった.以上より,miR-31の発現の低下は成人T細胞白血病細胞の生存にとって重要であり,その分子機構はNIKの過剰な発現の誘導であることが示された.NF-κBシグナルは非常に複雑な制御機構を備えているが,miR-31が新たなNF-κBシグナルの抑制因子として同定された.
細胞内での成熟したマイクロRNAのダイナミズムは,転写制御および転写後の成熟過程の制御により規定されている.成人T細胞白血病の全例で発現の低下のみられたmiR-31は転移性乳がんや前立腺がんなどでも発現が低下しており,がん細胞における一般性と重要性が示唆されたが,細胞内においてmiR-31の量がどのように制御されているかについては不明であった.miR-31遺伝子は多くのがん細胞でゲノムの欠失が頻発する9p21.3のCDKN2A/B領域に隣接しており,成人T細胞白血病においてもゲノムの不安定性が予測された.成人T細胞白血病168症例での大規模なDNAコピー数の解析の結果,12.5%の症例でmiR-31遺伝子のホモもしくはヘテロの欠損のあることがわかった.一方で,同時に行ったマイクロRNAの発現解析では,ゲノムの欠損のない症例でも正常なT細胞に比べmiR-31の量が大きく減少していることがわかった.そこで,発現解析データとアルゴリズムからmiR-31遺伝子の転写構造を予測したところ,miR-31はLOC554202遺伝子のイントロン領域にコードされ,独立した転写が起こっていることがわかった.また興味深いことに,YY1という転写因子の認識配列がmiR-31遺伝子の転写開始点の上流に蓄積していた.このYY1はPolycombファミリーに属するDNA結合タンパク質で,ヒストンH3の27番目のリジン残基のメチル化酵素であるEZH2をはじめとするPRC2(Polycomb repressive complex 2)のリクルーターとしての機能が注目されている5).そこで,YY1のノックダウン実験を行ったところ,miR-31遺伝子領域へのYY1の蓄積が減少し,それに付随してEZH2のリクルートが減少することがわかった.
では,成人T細胞白血病細胞をはじめとする高悪性度の腫瘍において,なぜmiR-31の発現が激減するのか? 成人T細胞白血病におけるmRNAの発現解析の結果,ヒストンH3の27番目のリジン残基のトリメチル化を誘導するPolycombファミリーに属するEZH2およびSUZ12をコードする遺伝子の発現が正常なT細胞に比べ高いことがわかった.成人T細胞白血病細胞株においてこれらPolycombファミリーをノックダウンすると,miR-31遺伝子領域へのPRC2のリクルートが減少し,その結果,ヒストンH3の27番目のリジン残基および9番目のリジン残基のメチル化レベルが低下した.さらに,ヒストンの脱アセチル化を介して転写抑制にはたらくHDAC1の結合量も減少し,その結果,miR-31の発現が回復することがわかった.以上の実験データから,Polycombファミリーの発現異常がmiR-31の発現低下を誘導するという新たな分子機構が明らかになった.この事実は,成人T細胞白血病患者に由来する腫瘍細胞をクロマチン免疫沈降アッセイにより直接的に調べた結果,miR-31遺伝子領域に異常な抑制的メチル化をもつヒストンが検出され,また,EZH2のノックダウンが直接に細胞死を誘導したこと,さらに,同様の分子機構が好転移性乳がん細胞やB細胞株においても保存されていたことからもサポートされた.
以上より,細胞内における成熟miR-31の発現量は,ゲノムの安定性と,YY1とPRC2によるエピジェネティックな制御の2つの側面により規定されていることが示された.
miR-31はNIKのほかRhoA,Radixin,インテグリンα5,FoxP3,FIH,E2F2などさまざまなタンパク質をコードする遺伝子を負に制御し細胞の運命に強く影響する.一方で,miR-31を制御するPolycombファミリーは多くの悪性リンパ腫,白血病,固形がんの増殖,生存,転移能に重要であるが,どの標的遺伝子が細胞の表現型に直接に影響するかについては不明な点が多かった.そこで,この研究で明らかになったmiR-31によるNIKを介したNF-κB経路の制御とPolycombファミリーによるmiR-31の発現制御とをあわせ,Polycombファミリーによるエピジェネティックな制御がNIKに依存的なNF-κB経路の制御にかかわるという仮説をたてた.これまで,PolycombファミリーとNF-κB経路との関係は不明であった.
成人T細胞白血病細胞株においてEZH2もしくはSUZ12をノックダウンすると,さきに述べたようにmiR-31の発現が誘導され,このとき,NIKの量が減少することにより下流へのシグナルが停止しNF-κBシグナルが低下した.さらに,これらの細胞では細胞の増殖および細胞死への抵抗性が低下した.Polycombファミリー,miR-31,NIKはそれぞれの経路の上流に位置し,細胞に対するアウトプットはさまざまに拡散すると考えられるが,以下の実験事実によりこの分子機構は非常に重要であると考えられた.1)Polycombファミリーのノックダウンにより低下したNF-κBシグナルはmiR-31の阻害剤を共存させることにより回復することから,PolycombファミリーによるNF-κBの制御にはmiR-31の仲介が重要である,2)Polycombファミリーのノックダウンにより誘導される成人T細胞白血病細胞の強制的なアポトーシスは3’側非翻訳領域を削除したNIKによりレスキューされる,つまり,Polycombファミリーにより獲得された異常な生存能の一部はNIKにより具現化されている.3)miR-31の過剰な発現やPolycombファミリーのノックダウンはB細胞におけるBAFFやCD40LからのNF-κBの非定型的経路の活性化を阻害することから,がん細胞のシグナルだけでなく正常細胞のシグナルの制御にも重要である.4)miR-31の発現およびPolycombファミリーのノックダウンにより成人T細胞白血病細胞のMDC(CCR4リガンド)に対する走化性が低下し,NIK以外のmiR-31の標的遺伝子による表現型はPolycombファミリーによっても影響をうける.
Polycombファミリーの過剰な発現,miR-31の発現の低下,NIK量の増加とNF-κBシグナルの恒常的な活性化は,いずれも成人T細胞白血病の臨床検体から明らかになった.この研究の総括として,この腫瘍細胞の分子レベルでの特徴が細胞の生存にどのように影響するかを検討した.miR-31の強制発現,また,EZH2もしくはNIKのノックダウンを行うレンチウイルスベクターを作製し,患者に由来する腫瘍細胞に直接に導入することによりex vivoでの評価を行った.その結果,ある程度の個人差をもっていずれのレンチウイルスも複数の成人T細胞白血病の症例で強烈なアポトーシスを誘導することがわかった.同様の処理は正常の末梢血の単核球もしくはT細胞に対しては効果が微弱であり,それぞれの因子の存在量のバランスの異常が成人T細胞白血病細胞の生存に重要であることが示された.これらの結果は,miR-31が成人T細胞白血病細胞に特異的な細胞障害性をもつことを示しており,この細胞に特異的な導入法を開発することにより成人T細胞白血病の新規の治療法につながる可能性をもつと考えられた.
この研究は,成人T細胞白血病における新たな分子標的とNF-κBシグナルの活性化の機序を明らかにするとともに,Polycombファミリーによるエピジェネティックな制御,マイクロRNAによる細胞運命の決定,NF-κB経路による免疫細胞および腫瘍細胞の分子基盤,という3つのコンテクストに新たな生物学的なリンクを見い出した(図2).また,この研究で得られた知見は以下の点で重要であった.
1つ目は,NIKの新たな制御機構を明らかにしたことである.NIKは成人T細胞白血病以外にも,多発性骨髄腫,悪性リンパ腫,乳がんなどにおけるNF-κBシグナルの異常な活性化の原因タンパク質である.また,NIKは免疫担当細胞をはじめとする種々の細胞の正常機能に必須であり,NIKをめぐる基礎研究は注目をあつめている.NF-κB経路の複雑な制御系にmiR-31が組み込まれていること,さらに,Polycombファミリーに依存的なエピジェネティックな制御がマイクロRNAを介してNF-κBシグナルの制御に寄与するという発見は,今後のシグナル伝達の研究に対し大きく貢献するものと考えられる.
2つ目は,PolycombファミリーはマイクロRNAの発現を制御することにより,より多くの遺伝子の発現につき転写および翻訳の段階において影響力をもつ可能性のあることである.また,Polycombファミリー自体も複数のマイクロRNAにより制御されていることがわかっている.現に,成人T細胞白血病においてはEZH2を抑制するマイクロRNAが減少していた.
3つ目は,Polycombファミリーによる標的配列の認識機構の一端を明らかにしたことである.PRC2による標的配列の認識はYY1だけでは説明できないことは複数の研究により示されているが,miR-31のようにYY1結合配列の蓄積という特殊なケースが細胞に対する影響力の大きい可能性がある.
4つ目は,シグナルのクロストークと細胞の正常機能についてである.この研究で得られた知見はそれぞれの鍵となる因子の異常な挙動を指標として明らかになったが,それぞれの因子は元来,細胞の恒常性や正常機能に重要であると考えられる.がん研究から得られた知見がより基礎的および臨床的な理解に貢献することを期待したい.
最後に,miR-31の成人T細胞白血病に対する分子標的薬としての応用の可能性が示されたといえる.今後の研究により実用化が可能となれば,成人T細胞白血病のみならず同様の分子病態を示すがんの新たな治療法の開発の先例となる可能性がある.
略歴:2009年 東京大学大学院新領域創成科学研究科 修了,同年 エイズ予防財団 リサーチレジデントを経て,2011年より東京大学大学院新領域創成科学研究科 特任研究員.
研究テーマ:白血病およびリンパ腫における分子病態,とくに,エピジェネティクス,マイクロRNA,シグナル伝達.HIVの潜伏化の分子機構.
関心事:腫瘍細胞および正常細胞におけるエピジェネティクス,マイクロRNA,シグナル伝達系のクロストーク.基礎研究から発信する情報を臨床へフィードバックすることをめざしたい.
渡邉 俊樹(Toshiki Watanabe)
東京大学大学院新領域創成科学研究科 教授
研究室URL:http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/ltcb-mgs/
© 2012 山岸 誠・渡邉俊樹 Licensed under CC 表示 2.1 日本
(東京大学大学院新領域創成科学研究科 メディカルゲノム専攻病態医療科学分野)
email:山岸 誠,渡邉俊樹
DOI: 10.7875/first.author.2012.023
Polycomb-mediated loss of miR-31 activates NIK-dependent NF-κB pathway in adult T cell leukemia and other cancers.
Makoto Yamagishi, Kazumi Nakano, Ariko Miyake, Tadanori Yamochi, Yayoi Kagami, Akihisa Tsutsumi, Yuka Matsuda, Aiko Sato-Otsubo, Satsuki Muto, Atae Utsunomiya, Kazunari Yamaguchi, Kaoru Uchimaru, Seishi Ogawa, Toshiki Watanabe
Cancer Cell, 21, 121-135 (2012)
要 約
成人T細胞白血病は日本人に100万人以上,世界では推定2000万人の感染者がいるHTLV-1によりひき起こされる重篤な白血病で,有効な治療法は確立していない.筆者らは,HTLV-1感染者コホート共同研究班の全面的な協力を得て,世界ではじめて成人T細胞白血病患者の細胞のゲノム,mRNA,マイクロRNAの大規模な統合解析を完了した.その結果,成人T細胞白血病の悪性化をひき起こす原因として,マイクロRNAのひとつmiR-31がすべての成人T細胞白血病患者において著しく減少していることを明らかにした.miR-31の減少はその標的遺伝子の産物であるNIKの過剰な発現とそれにともなうNF-κBシグナルの恒常的な活性化を誘発すること,miR-31を再導入すると細胞死が誘導されることが示された.ゲノムの欠損およびPolycombファミリーに依存的なエピジェネティックな異常がmiR-31の発現低下の原因であり,また,成人T細胞白血病だけでなく乳がん細胞やB細胞における免疫応答反応でも同じ機構が保存されていることがわかった.したがって,Polycombファミリー,miR-31,NIKのバランスが細胞の運命に重要であることが示された.Polycombファミリーは細胞の恒常性や分化などの多彩な機能に必須であると同時に,その異常は多くのがん細胞における重要な分子標的となっている.マイクロRNAを介したPolycombファミリーとNF-κBとのクロストークは新たな概念であり,この研究の成果より,エピジェネティックな異常がNF-κBシグナルの恒常的な活性化を介しアポトーシスに対する抵抗性の獲得に寄与することが明らかになった.
はじめに
成人T細胞白血病(adult T cell leukemia/lymphoma:ATL)はHTLV-1(human T cell leukemia virus type 1,ヒトT細胞白血病ウイルスⅠ型)の感染によりひき起こされる重篤なT細胞性の白血病である.50~60年という長い潜伏期間のあいだHTLV-1に感染した末梢血のT細胞には複数の遺伝子異常が蓄積しがん化がひき起こされる(図1).現在,世界には2000万人以上の感染者がいるとされるが,わが国ではとくに多く,約120万人の感染者が存在し毎年1000人をこえる感染者がきわめて予後の不良な成人T細胞白血病を発症する.白血病やウイルスが発見された当時からこの分野における日本人研究者の貢献度は多大であるが,ウイルスによる細胞の不死化や腫瘍化,治療への抵抗性などの分子機構にはいまだに不明な点が多く残されており有効な治療法は存在しない.ウイルスの根絶と白血病の予防,新規の治療法の開発をめざした分子レベルでの病態の解明が必須である1).
成人T細胞白血病細胞およびHTLV-1感染細胞の生物学的な特徴として恒常的なNF-κBシグナルの活性化があり,これにより細胞の異常な増殖および生存が確保されている2).HTLV-1感染細胞ではウイルスの遺伝子産物であるTaxがNF-κBの定型的(canonical)経路および非定型的(noncanonical)経路を劇的に活性化するが,通常はTaxの発現が認められない成人T細胞白血病細胞におけるNF-κBシグナルの活性化の機構には不明な点が多かった.そののち,遺伝子発現の解析によりNIK(NF-κB-inducing kinase)をコードするmRNAの過剰な発現が恒常的なNF-κBシグナルの活性化に寄与していることが明らかになっているが3),NIKの異常発現の機構は明らかになっていなかった.NF-κBシグナルの異常な活性化とそれにともなう腫瘍細胞の生存能の獲得および悪性化は,成人T細胞白血病だけでなく多くの固形がんや悪性リンパ腫,白血病において共通してみられるがん細胞の特徴のひとつである.そのなかでも,NIKの高発現による異常な活性化は重要な位置をしめているが,正常を逸脱するその機構は不明でありがん研究の全体における課題であった.
筆者らは,成人T細胞白血病患者のマイクロRNAの解析,mRNAの発現解析,および,ゲノム異常の解析を統合してその分子病態の全貌にアプローチした.その結果として明らかになった成人T細胞白血病における分子異常はその臨床的な特徴をよく反映しており,分子マーカーや治療標的としてさまざまな情報を提示した.さらに,明らかにされた新たな分子機構はがん研究の全体に新たな概念を提唱した.
1.成人T細胞白血病の臨床検体を用いた大規模な統合解析からみる分子病態
これまでの成人T細胞白血病の研究の多くは細胞株か少数の患者に由来する細胞から得られた情報を基盤としたものであり,実際の成人T細胞白血病細胞を分子レベルで正確に理解することが成人T細胞白血病の研究において重要な課題であった.いまだ有効な治療法のない成人T細胞白血病に対し根本的な情報を得るため,筆者らはまず,全国的なHTLV-1疫学調査および検体バンク組織であるHTLV-1感染者コホート共同研究班(JSPFAD,URL:http://htlv1.org/)の全面的な協力を得て,成人T細胞白血病の臨床検体を用いたマイクロRNAおよびmRNAの大規模な解析に着手した.米国Agilent Technologies社のマイクロRNAマイクロアレイを用い,成人T細胞白血病細胞40例,正常なCD4陽性T細胞22例について解析を行った結果,非常に厳しい検定をクリアした61個のマイクロRNAにおける発現異常を同定した.ほかのがん細胞における報告と同様に,成人T細胞白血病細胞では発現の異常を示すマイクロRNAのほとんどは発現の低下を示した.成人T細胞白血病細胞におけるマイクロRNAの発現パターンはユニークで,マイクロRNAの発現をもって正常なT細胞と区別できることもわかった.この61個のマイクロRNAのなかでもっとも差の大きかったmiR-31は,正常なT細胞では比較的発現量が高く,一方で,成人T細胞白血病細胞では非常に発現が低いもしくは検出限界以下にまで発現が低下していた.miR-31は乳がん細胞の転移能をはじめさまざまな細胞機能にかかわる重要なマイクロRNAで4),その発現の低下が細胞の運命に重要な意味を包含するものと考えられた.
2.miR-31の発現低下とその生物学的な意義
マイクロRNAのおもな生物学的な機能は標的遺伝子の3’側非翻訳領域に結合することによりその発現を負に制御することである.外来の合成siRNAとは異なり,マイクロRNAによる配列の認識はゆらぎが特徴的であり,ひとつのマイクロRNAが複数個の遺伝子を制御することができる.細胞の運命に重大な影響をあたえるような標的遺伝子の探索には,物理的な抑制効果と同時に標的遺伝子の側の機能や挙動も重要な指標となり,したがって,多角的な実験的検証が必須になる.筆者らは,成人T細胞白血病の全例で発現が低下していたmiR-31のT細胞における生物学的な意義を明らかにするため,以下の検討を行った.1)miR-31の標的遺伝子を4つのアルゴリズムにより予測,2)成人T細胞白血病細胞のmRNAの大規模な解析データとのすりあわせによる検証,3)変異を導入したレポーターアッセイ,4)miR-31の増減に対する候補となる標的遺伝子の定量,5)miR-31と標的遺伝子との関係の保存性の確認.以上により,NIKをコードする遺伝子がmiR-31の新規の標的遺伝子であることが明らかになった.NIKはNF-κBの非定型的経路の活性化に必須のリン酸化酵素であり,その発現量がNF-κBシグナルの恒常的な活性化に直接的に寄与することが複数のがんにおいて報告されている.成人T細胞白血病ではNIKをコードするmRNAの量が増加していることがわかっていたが3),過剰な発現の原因は明らかにされていなかった.成人T細胞白血病患者に由来する細胞から樹立された細胞株にmiR-31を過剰に発現させるとNIKのmRNA量およびタンパク質量が低下し,NF-κBシグナルが低下することがわかった.これらの細胞では増殖能の低下,抗アポトーシス遺伝子の発現の低下,アポトーシス感受性の向上がみられた.さらに,miR-31を発現誘導するレンチウイルスベクターは成人T細胞白血病患者から直接取り出した腫瘍細胞のアポトーシスを誘導することがわかった.以上より,miR-31の発現の低下は成人T細胞白血病細胞の生存にとって重要であり,その分子機構はNIKの過剰な発現の誘導であることが示された.NF-κBシグナルは非常に複雑な制御機構を備えているが,miR-31が新たなNF-κBシグナルの抑制因子として同定された.
3.ゲノムおよびエピゲノムの異常とmiR-31の発現制御
細胞内での成熟したマイクロRNAのダイナミズムは,転写制御および転写後の成熟過程の制御により規定されている.成人T細胞白血病の全例で発現の低下のみられたmiR-31は転移性乳がんや前立腺がんなどでも発現が低下しており,がん細胞における一般性と重要性が示唆されたが,細胞内においてmiR-31の量がどのように制御されているかについては不明であった.miR-31遺伝子は多くのがん細胞でゲノムの欠失が頻発する9p21.3のCDKN2A/B領域に隣接しており,成人T細胞白血病においてもゲノムの不安定性が予測された.成人T細胞白血病168症例での大規模なDNAコピー数の解析の結果,12.5%の症例でmiR-31遺伝子のホモもしくはヘテロの欠損のあることがわかった.一方で,同時に行ったマイクロRNAの発現解析では,ゲノムの欠損のない症例でも正常なT細胞に比べmiR-31の量が大きく減少していることがわかった.そこで,発現解析データとアルゴリズムからmiR-31遺伝子の転写構造を予測したところ,miR-31はLOC554202遺伝子のイントロン領域にコードされ,独立した転写が起こっていることがわかった.また興味深いことに,YY1という転写因子の認識配列がmiR-31遺伝子の転写開始点の上流に蓄積していた.このYY1はPolycombファミリーに属するDNA結合タンパク質で,ヒストンH3の27番目のリジン残基のメチル化酵素であるEZH2をはじめとするPRC2(Polycomb repressive complex 2)のリクルーターとしての機能が注目されている5).そこで,YY1のノックダウン実験を行ったところ,miR-31遺伝子領域へのYY1の蓄積が減少し,それに付随してEZH2のリクルートが減少することがわかった.
では,成人T細胞白血病細胞をはじめとする高悪性度の腫瘍において,なぜmiR-31の発現が激減するのか? 成人T細胞白血病におけるmRNAの発現解析の結果,ヒストンH3の27番目のリジン残基のトリメチル化を誘導するPolycombファミリーに属するEZH2およびSUZ12をコードする遺伝子の発現が正常なT細胞に比べ高いことがわかった.成人T細胞白血病細胞株においてこれらPolycombファミリーをノックダウンすると,miR-31遺伝子領域へのPRC2のリクルートが減少し,その結果,ヒストンH3の27番目のリジン残基および9番目のリジン残基のメチル化レベルが低下した.さらに,ヒストンの脱アセチル化を介して転写抑制にはたらくHDAC1の結合量も減少し,その結果,miR-31の発現が回復することがわかった.以上の実験データから,Polycombファミリーの発現異常がmiR-31の発現低下を誘導するという新たな分子機構が明らかになった.この事実は,成人T細胞白血病患者に由来する腫瘍細胞をクロマチン免疫沈降アッセイにより直接的に調べた結果,miR-31遺伝子領域に異常な抑制的メチル化をもつヒストンが検出され,また,EZH2のノックダウンが直接に細胞死を誘導したこと,さらに,同様の分子機構が好転移性乳がん細胞やB細胞株においても保存されていたことからもサポートされた.
以上より,細胞内における成熟miR-31の発現量は,ゲノムの安定性と,YY1とPRC2によるエピジェネティックな制御の2つの側面により規定されていることが示された.
4.PolycombファミリーによるmiR-31制御を介したNF-κB経路への影響
miR-31はNIKのほかRhoA,Radixin,インテグリンα5,FoxP3,FIH,E2F2などさまざまなタンパク質をコードする遺伝子を負に制御し細胞の運命に強く影響する.一方で,miR-31を制御するPolycombファミリーは多くの悪性リンパ腫,白血病,固形がんの増殖,生存,転移能に重要であるが,どの標的遺伝子が細胞の表現型に直接に影響するかについては不明な点が多かった.そこで,この研究で明らかになったmiR-31によるNIKを介したNF-κB経路の制御とPolycombファミリーによるmiR-31の発現制御とをあわせ,Polycombファミリーによるエピジェネティックな制御がNIKに依存的なNF-κB経路の制御にかかわるという仮説をたてた.これまで,PolycombファミリーとNF-κB経路との関係は不明であった.
成人T細胞白血病細胞株においてEZH2もしくはSUZ12をノックダウンすると,さきに述べたようにmiR-31の発現が誘導され,このとき,NIKの量が減少することにより下流へのシグナルが停止しNF-κBシグナルが低下した.さらに,これらの細胞では細胞の増殖および細胞死への抵抗性が低下した.Polycombファミリー,miR-31,NIKはそれぞれの経路の上流に位置し,細胞に対するアウトプットはさまざまに拡散すると考えられるが,以下の実験事実によりこの分子機構は非常に重要であると考えられた.1)Polycombファミリーのノックダウンにより低下したNF-κBシグナルはmiR-31の阻害剤を共存させることにより回復することから,PolycombファミリーによるNF-κBの制御にはmiR-31の仲介が重要である,2)Polycombファミリーのノックダウンにより誘導される成人T細胞白血病細胞の強制的なアポトーシスは3’側非翻訳領域を削除したNIKによりレスキューされる,つまり,Polycombファミリーにより獲得された異常な生存能の一部はNIKにより具現化されている.3)miR-31の過剰な発現やPolycombファミリーのノックダウンはB細胞におけるBAFFやCD40LからのNF-κBの非定型的経路の活性化を阻害することから,がん細胞のシグナルだけでなく正常細胞のシグナルの制御にも重要である.4)miR-31の発現およびPolycombファミリーのノックダウンにより成人T細胞白血病細胞のMDC(CCR4リガンド)に対する走化性が低下し,NIK以外のmiR-31の標的遺伝子による表現型はPolycombファミリーによっても影響をうける.
5.新規の治療法の開発へ
Polycombファミリーの過剰な発現,miR-31の発現の低下,NIK量の増加とNF-κBシグナルの恒常的な活性化は,いずれも成人T細胞白血病の臨床検体から明らかになった.この研究の総括として,この腫瘍細胞の分子レベルでの特徴が細胞の生存にどのように影響するかを検討した.miR-31の強制発現,また,EZH2もしくはNIKのノックダウンを行うレンチウイルスベクターを作製し,患者に由来する腫瘍細胞に直接に導入することによりex vivoでの評価を行った.その結果,ある程度の個人差をもっていずれのレンチウイルスも複数の成人T細胞白血病の症例で強烈なアポトーシスを誘導することがわかった.同様の処理は正常の末梢血の単核球もしくはT細胞に対しては効果が微弱であり,それぞれの因子の存在量のバランスの異常が成人T細胞白血病細胞の生存に重要であることが示された.これらの結果は,miR-31が成人T細胞白血病細胞に特異的な細胞障害性をもつことを示しており,この細胞に特異的な導入法を開発することにより成人T細胞白血病の新規の治療法につながる可能性をもつと考えられた.
おわりに
この研究は,成人T細胞白血病における新たな分子標的とNF-κBシグナルの活性化の機序を明らかにするとともに,Polycombファミリーによるエピジェネティックな制御,マイクロRNAによる細胞運命の決定,NF-κB経路による免疫細胞および腫瘍細胞の分子基盤,という3つのコンテクストに新たな生物学的なリンクを見い出した(図2).また,この研究で得られた知見は以下の点で重要であった.
1つ目は,NIKの新たな制御機構を明らかにしたことである.NIKは成人T細胞白血病以外にも,多発性骨髄腫,悪性リンパ腫,乳がんなどにおけるNF-κBシグナルの異常な活性化の原因タンパク質である.また,NIKは免疫担当細胞をはじめとする種々の細胞の正常機能に必須であり,NIKをめぐる基礎研究は注目をあつめている.NF-κB経路の複雑な制御系にmiR-31が組み込まれていること,さらに,Polycombファミリーに依存的なエピジェネティックな制御がマイクロRNAを介してNF-κBシグナルの制御に寄与するという発見は,今後のシグナル伝達の研究に対し大きく貢献するものと考えられる.
2つ目は,PolycombファミリーはマイクロRNAの発現を制御することにより,より多くの遺伝子の発現につき転写および翻訳の段階において影響力をもつ可能性のあることである.また,Polycombファミリー自体も複数のマイクロRNAにより制御されていることがわかっている.現に,成人T細胞白血病においてはEZH2を抑制するマイクロRNAが減少していた.
3つ目は,Polycombファミリーによる標的配列の認識機構の一端を明らかにしたことである.PRC2による標的配列の認識はYY1だけでは説明できないことは複数の研究により示されているが,miR-31のようにYY1結合配列の蓄積という特殊なケースが細胞に対する影響力の大きい可能性がある.
4つ目は,シグナルのクロストークと細胞の正常機能についてである.この研究で得られた知見はそれぞれの鍵となる因子の異常な挙動を指標として明らかになったが,それぞれの因子は元来,細胞の恒常性や正常機能に重要であると考えられる.がん研究から得られた知見がより基礎的および臨床的な理解に貢献することを期待したい.
最後に,miR-31の成人T細胞白血病に対する分子標的薬としての応用の可能性が示されたといえる.今後の研究により実用化が可能となれば,成人T細胞白血病のみならず同様の分子病態を示すがんの新たな治療法の開発の先例となる可能性がある.
文 献
- Iwanaga, M., Watanabe, T., Utsunomiya, A. et al.: Human T-cell leukemia virus type I (HTLV-1) proviral load and disease progression in asymptomatic HTLV-1 carriers: a nationwide prospective study in Japan. Blood, 116, 1211-1219 (2010)[PubMed]
- Watanabe, M., Ohsugi, T., Shoda, M. et al.: Dual targeting of transformed and untransformed HTLV-1-infected T cells by DHMEQ, a potent and selective inhibitor of NF-κB, as a strategy for chemoprevention and therapy of adult T-cell leukemia. Blood, 106, 2462-2471 (2005)[PubMed]
- Saitoh, Y., Yamamoto, N., Dewan, M. Z. et al.: Overexpressed NF-κB-inducing kinase contributes to the tumorigenesis of adult T-cell leukemia and Hodgkin Reed-Sternberg cells. Blood, 111, 5118-5129 (2008)[PubMed]
- Valastyan, S., Reinhardt, F., Benaich, N. et al.: A pleiotropically acting microRNA, miR-31, inhibits breast cancer metastasis. Cell, 137, 1032-1046 (2009)[PubMed]
- Simon, J. A. & Kingston, R. E.: Mechanisms of polycomb gene silencing: knowns and unknowns. Nat. Rev. Mol. Cell Biol., 10, 697-708 (2009)[PubMed]
著者プロフィール
略歴:2009年 東京大学大学院新領域創成科学研究科 修了,同年 エイズ予防財団 リサーチレジデントを経て,2011年より東京大学大学院新領域創成科学研究科 特任研究員.
研究テーマ:白血病およびリンパ腫における分子病態,とくに,エピジェネティクス,マイクロRNA,シグナル伝達.HIVの潜伏化の分子機構.
関心事:腫瘍細胞および正常細胞におけるエピジェネティクス,マイクロRNA,シグナル伝達系のクロストーク.基礎研究から発信する情報を臨床へフィードバックすることをめざしたい.
渡邉 俊樹(Toshiki Watanabe)
東京大学大学院新領域創成科学研究科 教授
研究室URL:http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/ltcb-mgs/
© 2012 山岸 誠・渡邉俊樹 Licensed under CC 表示 2.1 日本